『角屋食堂』大正時代から宿場町の角にあるレトロな老舗大衆食堂【福岡県糸島市】

僕が福岡に来た頃はまだこのあたりは前原市だったんだよね、今は市町村合併で糸島市になっているけれど。で、その旧前原市の中心部、江戸時代の街道筋にあった宿場町「前原宿」として栄えた通りの角に、大正十年ごろに開業したという老舗の大衆食堂『角屋食堂』があるのです。

前に一度、地元の人に連れられて食べに行ったんだけど、その時はかつ丼を食べたので今回は名物のポークチャップを食べてきました。

角屋食堂の外観

 

流石に建物は大正時代のそのまんまということはないのだろうけど、それでも僕が生まれる前に建ったんじゃなかろうかというくらいの昭和レトロ感がバッチリ渋い外観。昭和40年代とか50年代ごろによくみたタイプのお店です。

ちょうど通りに面した一番角のところがタバコ屋になってたんでしょうね、少し出張った感じがいかにも昭和な風情。

角屋というのは、ちょうど角にあったからそのまま呼ばれるようになったのだろうけど、昔の飲食店ってそういう名前が多い気がする。角にあるうどん屋で「かろのうどん」という店が博多にあったり、この近辺で有名な牧のうどんというお店も、牧という場所にあったうどん屋ということで付けられたと聞いたことがある。

ということで、角地のお店なので正面以外に、店舗脇から入る入口もありました。

お店の中

店内はもうね、どうしようもないくらいの昭和ですよ。昭和40年代じゃないかなぁ、僕が小さかったころに行った食堂の雰囲気がそのまんま残ってる。小上がりの座敷席と、昭和デザインのテーブルとイス。

でもって、床がタイルなんだよね。

タバコや屋になっていたと思われる角がお勘定場になっていて、二階に上がる案内看板もレトロだなぁ。喫茶洋食は二階と書いてあるけど、今でも二階席を使っているのかは不明。子供のころの記憶に食堂の二階席からクリームソーダを飲みながら街行く人を眺めていた記憶があるのだけれど、昔は二階建ての食堂が多かった気がする。

こういう客席の上にある扇風機、ダイヤルをガチャガチャとまわすタイプ。さすがに今どきはエアコンがきいてるので使われてないけれど、小さい頃に行った大衆食堂は扇風機がガンガン廻ってた。

壁際には沢山の漫画が並んでいて、中には文庫本まであった。いやね、昭和の雰囲気が漂っていてさ、のんびりくつろぎたくなる気持ちもよく分かる。

角屋食堂のメニュー

角屋食堂のメニュー、創業大正十年頃と書かれている。西暦でいうと1921年なので、僕が訪れたのはちょうど100年が経ったか経つかするころ。表紙の写真はポークチャップ定食、角屋食堂の名物メニュー。営業時間が”だいたい”10時から18時と書かれているけど、だいたいってのがいいね。

メニューを開いて左上が定食メニュー、ポークチャップ定食が一番上。角屋定食が一番高い設定。写真を見る限り、ミックスフライみたいな印象。

その下に食堂の定番、丼もの。天ぷらは天丼ではなく天とじ丼になっていて、九州では珍しい味噌カツ丼がある。

右上にはランチ類と書かれていて、写真のカツカレーがすんごい美味しそう。子どもの頃、いつもお子様ランチを食べさせられていて、大人になったらカツカレーを食べるんだと心に誓った記憶がある。

僕にとって、カツカレーは大人のご馳走だった。ちょうど昭和40年代末期から50年代初めの頃のお話し。ところで、一番上に書かれている角屋ランチってどんなのだろう、写真が無いだけにすんごい気になる。ハヤシライスも林ライスなのね……定食屋で”おじや”があるのは珍しいかも。

最後に右下は麺類、これも定食屋の定番。チャンポンといえば長崎が有名だけど、実は長崎街道に沿って広く食べられていて、長崎・佐賀・福岡の定食屋に行けばラーメンより見かける頻度の高い定番中の定番メニューだったりする。

月見があって、たまごがあって、とじうどんてのがあるんだね。ハヤシライスが林ライスになっていたのも含めて、こういうところが老舗らしいというか、昔のメニューが残ってるんだろうなぁと歴史を感じる瞬間だね。

最後にドリンクと甘味。クリームソーダが美味しそう、ぜんざい万十ってのもある。てかさ、福岡って饅頭を万十ってかくんだよね。ムツゴロウの形をしたむっちゃん万十とかがあるし。

名物「ポークチャップ定食」

写真を撮る許可を頂いて、席について、もちろん注文したのは名物のポークチャップ定食。1000円というのは低所得者の僕にとって贅沢な値段だけど、麺類や丼ものはリーズナブルなので、やはりこの定食はそれだけ気合が入っているのでしょう。

お店がすいていたためか、注文してから10分もせずに出てきたポークチャップ。鉄板の上でソースが沸騰中、目の前でバターが溶けていくんだけれども……すんげぇ美味しそうなのよ。

せっかく熱々で出てきたのだから、さっそく熱いうちに頂きます。あちっとなるのはお約束なのだけど、この豚肉、柔らかくて味が強い。脂身の甘さも絶妙だけど、やっぱ肉のうまみが強烈だね。味付けは濃いめ、バターがしっかりきいたソースも濃厚だけど、それに負けない豚肉の味。肉の下味もシッカリ付いてる。

ポークチャップといえば学校給食で食べた、あの硬い豚肉をケチャップで焼いたものを想像するけども、まず、ソースが本格派というかフレンチ風の洋食味。肉も柔らかいし、あれとは全くの別物。今風に言うとソースにからめた豚ステーキ、いわゆる豚テキにカテゴライズするのが妥当。

付け合わせはなんとオクラ!! 僕がいったのは9月だったので、まだギリギリで夏野菜だったのかもしれない。けどね、このオクラのネバっとした食感がとてもいいのよ、ソースとよく合う。

そしてこのポテト、塩味はシッカリしてるんだけれど、このソースをつけると美味しいねぇ。スパゲティもバター風味のソースが絡んですんごい美味しい。

定職のお味噌汁、ガッツリと出汁がきいていて味が濃厚。ガテン系でも満足できそうな濃い口だけど、意外と塩気は抑えてあるかもしれない。僕は少し煮詰まったくらい濃いめの味噌汁が好きなので、ちょうど良かった。普通の食堂だと薄く感じちゃうんだよね。

でまあ、ソースをご飯につけつけしながら食べる。やっぱコレだよね、定食の食べ方って。安心して食べられる安定感のある美味しさ、老舗の貫禄ってこういうことを言うのだろう。ここは観光客が沢山来るような場所じゃないから、本当に地元の人から愛され続けた味。

お店のスタッフもすごく爽やかで活気があるし、ご飯は美味しいし、レトロでゆったりした雰囲気だし、近所にこんなお店があったら通うだろうね。さすがに毎日1000円の定食は食べられないけれど。今度は家内を連れていきたいなぁ、カツカレー美味しそうだったし。

旧前原宿の商店街

角屋食堂の裏手すぐ、旧唐津街道沿いにお店が建ち並ぶ商店街。前原宿という宿場町のメインストリートらしいんだけれども、とってもレトロな雰囲気なのでついでに歩いてみると良いかもしれない。

場所情報など

角屋食堂(食べログ)

角屋食堂(Googleマップ)

※この記事に書かれている情報は僕が訪れた時のものです、最新の情報ではなく、情報の正確性を保証するものではありません。最新の情報については、ご自身で確認することをおススメします。

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