消える『八幡祇園町銀天街』昭和の商店街、レトロな市場、朝日屋のカツカレー

2019年にアーケードが撤去された福岡県北九州市八幡東区の八幡祇園町銀天街。この商店街は、昭和レトロな雰囲気を残す商店街として有名だった。60年以上に渡って地元で愛されていた商店街も、アーケードが無くなった途端に令和の街並みの飲まれていく。昭和生まれの僕も恐らくこうやって消えて行き、そしていずれ、誰も気に留めなくなっていくのだろう。まさに盛者必衰、諸行無常の世界。北九州で一つの時代が消えていく、その瞬間を見たい。なぜかそう思った僕は、摂氏35℃とも言わる酷暑の中、現地へ足を向けた。

八幡祇園町銀天街

「ありし日の八幡祇園町銀天街」画像:北九州フィルムコミッション

商店街が生まれたのは戦後スグのこと。1945年8月の空襲で焼け残ったこの祇園町筋に商店が集まり、青空市が開かれた。やがて八幡の代名詞ともいえる製鉄業の隆盛と共に、周辺に製鉄所の社宅が建設された。そして1960年にアーケードが完成。以来、銀天街として近隣の人たちに利用されてきた。

ちなみに、銀天街というのは北九州ではアーケードのある商店街の呼称としてよく使われていて、昼間に上を見上げると天井が銀色に見えるからだと言われている。

製鉄業の衰退と、大型店が郊外に出店したことなどにより衰退していった商店街。老朽化に伴い、2019年にアーケードも撤去された。アーケード商店街だった場所には通りの入り口にポールが建てられ、車両通行禁止の看板が立つ。上の写真は、ちょうど北の端。

しかし、アーケードを失った商店街は、もはやその姿を維持することすら難しかったもよう。戦後復興期の姿を色濃く残していたと伝わる商店街は、アーケード解体から2年で解体が進み、今ではわずかにその面影を残すのみ。

商店街の南端部、ここもアーケードの始まりだった。

この商店街には、スーパーが出来る前によく見かけた市場が複数軒を連ねていた。写真は今現存する中で唯一といってもいいかもしれない、一般の人も中に入れる市場「前田中央市場」の姿。

ちょうど前田中央市場の文字の上辺あたりにアーケードの屋根があった。

前田中央市場前の通り、ここが商店街のメインストリート。

前田中央市場は区画を突き抜け、隣の通りまで通じている。複数の店が入っていたことを伺わせる看板には、肉屋、生花店、鮮魚店、餅屋、そしてお茶屋の店名が書かれている。

隣の通りから見ると、どうやら市場は3棟が連棟で建っている模様。

一番端の堀川市場、そういえば反対側は鮮魚店がありました。いまだ鮮魚店と漬物店は営業をしていた。

だいしん通りはシャッターを閉じていたので、前田中央市場の中に入ってみると、中は見事な木造市場。

これはまさしく昭和30年代とか、僕が生まれる前のものだ。40年代になってくると鉄骨が増えて来るもんね。

結構綺麗な状態で残っているので、アーケードが撤去されるまでは店も営業していたのかもしれない。

今営業しているのは、唯一、肉屋さんが一件のみ。

何とも言えない休憩スペース。

ブレーカーが剥き出しの分電盤がレトロだなぁ……と思いながら、商店街の通りへ戻って来た。

他に何か、レトロな建物は残っていないかと歩いていると、イイ感じの食堂を見つけた。なんでも倉業60年以上というから、アーケードが出来た頃にはここで営んでいたのだろう。

この酒屋はかなりイケてる、前面のタイルと屋上に小屋を建てる昭和スタイル。ドラマなんかでもあったよね、ビル屋上の小屋。

大きな建物が残っていたけども、その隣は既に解体済み。とにかく駐車場、空き地、新しい家、そして真新しいマンション。歯が抜けるように店が欠けて行き、住宅地へと姿を変えていく商店街。

今までも、そしてこれからも、こうやって昭和の遺物たちは消えていくんだろう。そして僕も近い将来、同じように消えていく。それでも世の中は、そんな事などお構いなしに未来へと時間を進め続ける。今、昭和が若者の間で流行っているらしいけども、恐らく、彼ら彼女らと僕の目に映る昭和の風景は違った見え方をしている筈だ。

朝日屋のカツカレー

さて、この日は小倉に集荷があって、途中でここに立ち寄ったんだよね。お昼もまだだし、何か食べようかと思い商店街にあったレトロな食堂「朝日屋」に立ち寄ることにした。

入口には食品サンプル。

店内は思ったほど古くなくて、最近改装したのか清潔感たっぷり。メニューは定食からうどん、チャンポンまで。かなりバリエーション豊富。

あ、そうそう、チャンポンは長崎というイメージが強いかもしれないけど、むしろ、福岡の方が食べられてるんじゃないだろうか。長崎街道沿いの長崎ー佐賀ー福岡の北部九州はチャンポン専門店も多いし、定食屋には定番メニューとしてチャンポンがあるし、スーパーには必ずチャンポン麺が売られている。

と、話しが脱線したけども、ここで注文したのはカツカレー!!

やっぱさ、子供の頃に贅沢な食べ物と言えばカツカレーだったのよ。両親に連れられてレストランに行っても、なぜかお子様ランチを注文されて、子供心に「いつか一人でカツカレーを食べに来るんだ」と心に誓っていた。

とまあ、そんな事を思い出して、迷わず注文した一品。朝日屋のカツカレーはカツを一口サイズにカットしてくれてるタイプ。紙ナフキンを巻いたスプーンが良いよね。

そしてカツと一緒にカレーを頂きます。

味は……あ~っ、めっちゃ懐かしい味。今風のスパイスやらコクやら深みやら、そういううんちく系は一切なし。ほんとシンプルなカレー味、これぞ昔懐かしい味。

ごちそうさまでした。

オマケのレトロ画像はコチラ>>

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